生活の中にフェアトレードを~岐阜県垂井町「フェアトレード&地産地消 みずのわ」~

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「公平・公正な貿易」を意味するフェアトレード。適正な価格での取引によって開発途上国の生産者の生活を守るとともに、消費者にとっても品質の良いものを生み出そうとする取り組みです(*)。そのように作られたフェアトレード商品のことを知っていても、あまり身近に感じていないという方は多いのではないでしょうか?岐阜県垂井町にあるフェアトレードショップ「フェアトレード&地産地消 みずのわ」。ここは、フェアトレードと地産地消を中心としたまちづくりやSDGsの推進など、グローバルな視点を持って地域で活動するNPO法人泉京・垂井が運営するお店です。少し特別視してしまうフェアトレード商品について、NPO法人泉京・垂井スタッフの鉃井宣人(てついのぶひと)さんと清水博美(しみずひろみ)さんにお話をうかがい、フェアトレードを生活に取り入れるヒントやたくさんの種類のフェアトレード商品について教えて頂きました。

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※NIPPON TABERU TIMES(https://note.com/taberutimes)は、大学生が運営する「食のリアル」を伝えるWEBメディア。一次産業や地域には、都市生活では出会えない感動や、面白い「食のリアル」がたくさん存在しています。その魅力や楽しさを広め、1次産業・地域をより良い世界にしたいと考え、日々発信しています。日々自然と向き合っている生産者さんや地域の方だからこそ知る、食の現場の「発見」「ワクワク」「学び」を伝えます。今回の書き手は鶴田鈴さん(食べタイ編集部/早稲田大学)。

左から清水さん、鉃井さん

フェアトレードと地産地消が重なるところ

NPO法人泉京・垂井がフェアトレードと地産地消に特化したお店を始めたきっかけは、その土地柄にあります。鉃井さん「岐阜県垂井町は長く”フェアトレードタウン”として認証されることを目指している町なんです。フェアトレードタウンとはまちの行政や企業、住民が一体となってフェアトレードの推進に取り組む自治体のことで、現在日本では6都市が認定されています。認定されるには6つの基準があるのですが、フェアトレードタウンとなるためには何よりもまず地域住民の方々の理解が不可欠です。そのために年に一度”フェアトレードデイ垂井”というフェアトレードと地産地消に触れられる大きなイベントが開催されていて、それが10年以上続いています。またNPO法人泉京・垂井が事務局を務める”フェアトレードタウン垂井推進委員会”という組織が町役場や商工会などと連携して活動していて、勉強会の開催や情報提供をしています。また、垂井町は昔から街道や宿場町があって交易が盛んな地域でした。林業など小さな生業が盛んで、現在でも大規模農家よりもたくさんの品種を作る小規模農家が多いです。そこで採れたものを売る場所も多くあって、地産地消に取り組みやすい地域なんですよね。昔から続く地産地消は地域の生産者と消費者をつなぐ活動ですが、世界に目を向けるとその構図ってフェアトレードに通じるものがあると思うんです。なので、フェアトレードと地産地消を合わせて取り組むお店を始めることにしました」

手に入れやすいフェアトレードを

地域に地産地消の文化とフェアトレード意識が深く根付いている垂井町。そんな町のお店だからこそ、みずのわには買いに来る住民が手に取りやすく、生活に取り入れやすい商品が揃っています。

(清水さん)「みずのわではフェアトレード団体から仕入れた商品を取り扱っています。砂糖や塩、醤油などの食品関係が多くあって、コーヒーも東ティモールやフィリピン、タイなど様々な国のものがあります。一番人気のある商品はチョコレートですね。ただ保存料を使用しないもので、賞味期限が短く夏場は溶けてしまうため、冬場のみの販売になっています。カレーも人気があります。フェアトレードというと食品のイメージが強いと思いますが、食品以外のものも実はたくさんあるんです。ハンカチなどの雑貨もあって、例えばインドで使い古されたサリーをステッチなどを丈夫にして、服やポーチに仕立てたリサイクルサリーの商品があります。とってもかわいいんですよ」

カレーや調味料、コーヒーなどたくさんのこだわり食品が売られています

こちらはリサイクルサリーで作られた作品です。

(清水さん)「フェアトレード商品そのものだけでなく、海外のフェアトレードのスパイスや材料を使用して国内の障がい者施設で製品化されたものなど、そこから派生した商品もあります。フェアトレード認証という公式の認証がありますが、それだけにこだわらず、消費者が手に取りやすいものであることを最も重要視して、認証が無くても安心安全でフェアトードの基準をクリアしているものであれば取り扱っています」

フェアトレード商品には様々な種類のものがあり、中には普通の商品よりも価格が高いものもあります。それを障壁としないために、その価格の理由を知ることが大切であるとみずのわでは考えられています。

(鉃井さん)「価格に関して、確かにスーパーやコンビニなどの他の商品よりは高いかもしれません。でもその価格であることで消費者にとって安心安全な作られ方がされていて、さらにその代金がきちんと生産者に届いているんです。そのような背景を知ると、十分納得できると私たちは思っています。ただ消費者感覚で高いと感じることはわかるので、ここでは本当にたくさんの種類があるフェアトレード商品の中で、手に入りやすい価格の物を置いています。チョコレートをちょっと食べてもらったり、ドリップコーヒーを一杯飲んでもらったりして、そこからおいしさなどを実際に体験してもらいたいと思っています」

(*)出典:FAIR TRADE FORUM JAPAN フェアトレードタウンとは

                      FAIR TRADE FORUM JAPAN フェアトレードタウン基準

フェアトレード商品を選びたくなる理由

なぜフェアトレード商品がいいのか、と尋ねると、清水さんは「だって可愛くない!?」と目をキラキラさせて様々な商品を見せてくれました。

(清水さん)「こんなすごく可愛い雑貨やバッグをそんなに高くない価格で購入することができるんです。食品にしてもオーガニックで安心・安全というだけでなく、何よりおいしいんです。そしてそのような商品の代金がきちんと生産者に支払われているから、誰も悲しむことがない。それが一番の魅力だと思います」

みずのわでは商品の背景を知ってもらうことがとても大切にされていて、清水さんは商品の一つ一つにその背景について説明したポップを書いているそうです。背景を知ることは、フェアトレード商品の本当の魅力を知ることであり、また物を大切にすることに繋がると鉃井さんは言います。

(鉃井さん)「お店を運営するにあたってフェアトレードだから良い、ということを伝えたいのではなく、その商品自体の素晴らしさを伝えたいんです。私自身、ここでフェアトレードの事業を始める前からその存在は知っていて、選ぶこともありましたが、その時はその商品が好きだからというよりもフェアトレードは良いことだから、できる範囲で取り組もうという意識で選んでいました。しかし、みずのわでより多くのフェアトレード商品に触れる中でそれらが作られる過程や生産者の純粋な安心安全な物を提供しようという思いを知って、だからこそ身に着けたい、食べたいと思うようになりました。そのような商品自体の魅力を伝えたいんです」

「またもう一つ知ってほしいことは、フェアトレードがあるということはフェアじゃないトレードがまかり通っているということです。フェアトレード商品に触れることが、それを知るきっかけになればと思っています。どんな商品を買う時でも、これはどこから来てるんだろうとか、どうやって作られているんだろうとかそういうことに思いをはせてもらって、買ったものはきちんと使い古すなど、物を大切にする習慣につながってほしいですね」

ポーチには丁寧なステッチが施されています

一つ一つの商品にその商品がどのように作られたかを説明する手書きのポップがつけられています。写真は垂井町の「春日養蜂場」(*)の商品につけられたポップです。(*)春日養蜂場についてのNIPPON TABERU TIMESの記事はこちら

住民の居場所となることを目指して

みずのわが目指すのはフェアトレードを広めることだけではありません。フェアトレードを通して地域を繋げたいという強い思いがあり、そのためお店にはオーガニックのヘナやハーブを使用する美容室”le cocon”(るここん)やアトリエなどの地域の他の事業者との共有スペース、地域の人が気軽に立ち寄れるフリースペースなどがあり、地域の交流の場となっています。

(清水さん)「みずのわには、一度にたくさん買ってもらうよりも、頻繁に足を運んでもらいたいですね。フリースペースでフェアトレードコーヒーを一杯飲むことを日々の習慣にしてもらうとか。フェアトレードを日常に取り入れられて、地域の人同士が繋がって新たなものが生みだされる場所となっていきたいと思っています」

生産者と消費者の両者の幸せを考えて作られるフェアトレード商品には、物を通して人と人を繋ぐ力があります。食べ物でも雑貨でも、無理せず取り入れられるところからフェアトレードのある生活を始めてみませんか?

【フェアトレード&地産地消 みずのわさんもeumo加盟店です!】

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フェアトレード&地産地消みずのわの店舗情報

住所
〒5032124
岐阜県不破郡垂井町 宮代1794番地の1
取扱通貨
フェアトレードコイン
店舗カテゴリ
生活雑貨・ファッション、美容・健康、小商い
アクセス
JR垂井駅南口から徒歩約20分
営業時間
10:00~17:00
定休日
日・月曜日(そのほか、臨時休業の場合あり)
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